昨年、日本に先駆けて公開されていた地域の予告を見て歯ぎしりしながら待っておりました。
やっと…やっと見れたよ…!!!!!
というわけでオカルト・ホラー・伝奇物大好きな私によるミッドサマーの感想です。ネタバレしかしないので見てない人は読まないでね!!
あらすじ(wikiより)
大学生のダニーは精神的な疾患を抱えていた。ある冬の日、同じく精神疾患だった妹が両親を巻き添えに無理心中してしまう。自身の疾患と家族を失ったトラウマに苦しみ続けるダニーを、恋人のクリスチャンは内心重荷に感じながらも、別れを切り出せずにいた。
翌年の夏、ダニーはクリスチャンと一緒にパーティに参加した。席上、彼女はクリスチャンが友人のマーク、ジョシュと一緒に、同じく友人であるスウェーデンからの留学生・ペレの田舎町ホルガを訪れる予定であることを知った。クリスチャンはペレから「自分の一族の故郷で、今年夏至祭が開催される。夏至祭は90年に1度しか開催されないので、見に来てはどうか」と誘われたのである。文化人類学を専攻するクリスチャンは、学問的関心もあってホルガ行きを決めたのであった。
ホルガを訪れたダニー一行は、幻想的な風景と親切な村人に初めは魅了される。ところが、夏至祭はただの祝祭ではなく、ペイガニズムの祭りであった。そうとは知らずに参加したダニーたちは、不安と恐怖に苛まれていく。
ここより下はネタバレ感想です。
・総じて「良かったねえー!!」という感想しかない
主人公のダニーはありえないくらい悲惨な形で家族全員を失ってしまいます。
冒頭のシーンのヴィジュアルが結構強烈だったので
「うおまじか…ダニーめちゃかわいそ」
と最初から私はダニー寄りの目線で観ておりました。
ラストでダニーはクリスチャンを最後の生贄に選ぶわけだけど、これも別にクリスチャンがクソ野郎だからとか、自分に共感してくれなかった…というだけではないと思うのよね。(ちなみに私はクリスチャンクソ野郎原理主義者ではない。まあ大学生の男子ってこんなもんだろう)
彼女にとって、ホルガで女王として生きていくことは救いであり、そのためには現実世界との最後の関わりであるクリスチャンを断たなければならなかった。クリスチャンはダニーにとって、自分を現実世界に繫ぎ止める最後の鎖なのです。
これはホルガでの重要な儀式であったと同時に、ダニーにとっても
女王となり現世から解き放たれ、しがらみや悲しみのない世界で幸せに暮らすための通過儀礼だったわけですね。
・90年に一度は絶対嘘だろ
で、まあ90年に一度の祝祭ってのは…うん…嘘じゃね?
72歳の老人が自死するならもう少し間隔短く行われるだろうし、女王だって代替わりしていくだろうし…というわけで多分90年に一度は生贄を誘うための方便でしょうね。
・お花のヴィジュアル素敵
女の子たちの花輪しかり、生贄にされた皆様に飾り付けられたお花しかり…
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とっても きれいで よかったです。
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サイモンの死体(というかまだ生きてるけど)すらなんかおしゃれな前衛アートに見えたよね…
・くるくる回るのはトランスするため
ホルガではありとあらゆる手段で来訪者をトリップさせにかかるのですが、その最たる例があのメイポールをぐるぐる回るダンスコンペティション。
古来より人々が手を繋いで、あるいは円になってぐるぐる回ることは儀式や催眠、祭礼で用いられているもので、神と繋がりやすくなったり集合意識を感じられるようになるもの。
今思い出せるものでも久高島のイザイホウ、メヴレヴィーのセマー、手を繋いで円になるのであればウィッチクラフトの儀式なんかもありますね。
ダニーをトランスさせるためだけでなく、観客である村人たちもこの祭礼によりどっぷり浸れるようあの儀式が行われてるんだな〜と思いながら見てました。
・ドラッグ飲み過ぎ飲ませすぎやばい
何が…入っているのかな…?オーガニック??????
・愛をこめて花束を
クリスチャンからしたらなぜ自分がこんな目にあうのかわからない悲劇、そしてダニーからしたら「狂っているのは俺か…?いやこの世界だ!!!!」という気づきを得て新たな世界へ旅立つ冒険譚。
幸せに絶対的な定義なんてないのです。渡された花束を受け取ったらもう後戻りはできない。
それでも、悲しみに押しつぶされ、恋人に蔑ろにされながら不安を抱えて生きるよりは、たとえまやかしでも愛を一身に受け取れる場所で生きることが彼女にとっての幸せなのでしょう。
雑感
・予告も見てたし、ヤベー村のヤベー祭りってことで大体の行動が予測できたけどそれでも面白かった。ある意味、「次って絶対こうなるでしょ?そうなんでしょ?うおーー!!やっぱりそうだった!!!!!!!」という謎のカタルシスを得た。
・北欧神話とかルーン好きな人にはたまらないんでしょうね〜。
・奇祭とか謎の宗教儀礼楽しい
・とっても明るくてよく見えます
・食事シーンの異様な静けさも良かった。不気味な雰囲気を丁寧に伝えてくるところはかなり良い。