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旅と踊りと酒

シスヘテになりたいという病

書きたいことは書きたいときに書いとかないとどこかに行っちゃうので、ざっくばらんなメモ的に書いておきたいと思います。

幼い頃から「普通になりたい」と「普通は嫌だ」という気持ちが常に混在していました。
主に家庭環境やセクシュアリティの面で「普通になりたい」で、
一個人の個性、存在感として「普通は嫌だ」と、思っていた。

私の家庭環境はぼちぼち複雑で、小さい時からお友達にも一言では話せない事情があった。
家庭環境の話を打ち明けても、それを揶揄したりするような子はいなかったけれど、私は単純に他のお家が羨ましかった。だからなるべく言いたくなかった。
お父さんがいてお母さんがいて兄弟や祖父母がいて、みんな血が繋がっていて、普通に仲良く暮らしている。そんな家族が心の底から羨ましかった。

その一方、学校では「普通な自分」なんて嫌だ、と思っていた。
みんなから面白いと思われたかった。
自分から進んでピエロになったし、変わったことをしたり、普通の女の子がしないような行動をしたりした。
「普通な自分」では仲間に入れてもらえない。
本来の自分は多分大人しく、あんまり人と話したりせず、本を読んで休み時間は外に出ません、みたいなタイプである。

私はすくすくと大きくなり、恋をし、セックスをして、自分が何者であるかを少しずつ知っていった。
誰かと向き合い、時に傷つけあい、ボロボロになりながらも、自分を形作る要素を一つ一つ確認した。
「普通になりたい」は、今でも時々思う。
シスヘテ、とはシスジェンダーでヘテロセクシュアル、の略です。
シスジェンダー、つまり、自分の体の性別と心の性別が一致してる人のこと。
ヘテロセクシュアル、は、異性愛者のこと。


自分の性的指向を、現在この世に存在している言葉で表すことができない。
一つ思うのは、まず性的指向は自分で決めるものだということ。
他人から決められるものではないということ。
そしてそれは時間とともに変化していくということ。
なので例えば今私が、私はレズビアンです、と言っても、それは5分後に変更になる可能性がある。例えば羽生結弦ばりの美少年にめちゃめちゃ口説かれてその気になってしまうとか。
でもそれでも自分がレズビアンだと思えばレズビアンって名乗ってもいいと思うんですよねー。「美少年と出会って昂ぶってしまい一夜を過ごしたけど私は私がレズビアンだと思うからレズビアンです」でいいんですよね。
だってそれは自分が決めることだから。
逆もまた然りだと思う。ノンケの女の子が女の子とセックスしてもそれがイコールレズビアンになるってことでもないし。でもセックスだけはし続けるとかもよく聞く話ではあります。
最近だとホリエモンが女装男子の大島薫ちゃんと手をつないでホテルに入るのが目撃されたらしいですけど、別にホリエモンもゲイとかではないと思うんだよね。
仮定するとしたら男女問わず可愛ければやれるノンケ、女子と女装子がオッケーのバイ、トラニーチェイサー(性転換した人が好きな人)、などなど。
こういうのを定義し始めたらキリがないし、誰とセックスするかでなんでこんなにも言葉を選んだり、説明したりしなきゃいけないのかって、単純にめんどくさい。
私が誰とセックスするかなんて、そのセックスする相手だけが知ってればいい情報ではないだろうか。
なのでいちいち表明するのもめんどいし、「この前言ってたのと違うじゃん」とか言われても困る。でもこういうこと言ってるとレズ界隈からはバイだと思われて結構な確率で煙たがられます。「バイは今女と付き合っててもいつかは男の方に戻ってしまうから信用ならない」みたいな偏見がはびこっているからです。
だから何にも言わないのが得策なのです。女の子が好き。以上。みたいな。

 

最近、LGBTに新たに代わる言葉ができたそうです。
SOGI と言って Sexual Orientation Gender Identity の略で、日本語にすると「性的指向&性自認」になります。
まー今まではすげえ大雑把に レズビアン ゲイ バイセクシュアル トランスジェンダー の頭文字を並べてただけだったのが、世の中にはもっとたくさんの性的指向と性自認があるよ!!ってことでこの言葉ができたらしい。
いや本当にその通りだと思う。
自分の周りで思いつくだけでかなりの数の、LGBTっぽいけどLGBTのどれにも当てはまらない人がいる。
「女装趣味で女の子としかセックスしないけど、自分のちんこは一切使わずペニスバンドで犯してもらうのが基本スタイルの男性」

「FTM(女から男になった人)か男性が恋愛対象の女性」
「見た目も心も男性で女性を好きになって付き合うけど、セックスだけは男性とする男性」

とか細分化しすぎてて名前のつけようがないと思うんですよね。
ていうかもっともっと広げていったら、ヘテロセクシュアル、いわゆるノンケっていう大きなくくりの中にも「それってノンケじゃなくない?」みたいな人がいっぱいいると思うんですよね。
男女でセックスしてても、今日はなんか男っぽい気分だけど、今日は女の子みたいな気分、とかあってもいいんじゃないかと。

もうかれこれ十数年、日記をつけていて、読み返すと繰り返し「両性具有になりたい」と書かれている。初めて書いたのは多分中学生の時。
両性具有って最強だよね。男であり女であり、どちらでもない。ああ、私は両性具有になりたい。それだけは確かだ。
でも両性具有になったらなったでレズセックスしてる時特有の背徳感だったり興奮みたいなのが薄れちゃうのかな、じゃあ今のままでいいや、ってところを振り子のように行ったり来たりしている。

シスヘテになりた〜い、ってのは単純に恋愛市場のπが大きいからです。
ややこしいSOGIを持ち合わせると、パートナーが欲しいな〜って思ってもまずはそのパートナー候補がいると思しき場所を探し、ようやくたどり着いても必ずマッチするとは限らず、途方にくれるからです。
私はただ可愛い女の子と綺麗な女の人と美少年が好きなだけなのにな〜

もしも来世があるのなら、カタツムリに生まれ変わって、ややこしいことを一切考えず、雌雄同体の素敵なパートナーと巡り合い、交尾をして卵を産んで雨を喜び道端で一生を終えたいです。
おわり。