今夜、どこで寝る

旅と踊りと酒

踊ること

毎晩、ポールダンスをするしポールダンスを見ている。

他のダンサーが踊っているのを見ていて、ああこの子が踊るのを後どれだけ見ることができるのだろう、と思う。
妙齢の美しくスタイルの良い女の子たちが、ステージに立って踊ること。
華やかな場所に立ち続けることを望む子もいれば、結婚し子供を産みたいからとあっさり辞めていく子もいる。
どれだけ素晴らしいダンサーも、一度結婚し子供を持てば、なかなかポールダンサーに復帰することは難しい。本人が望まないことも多い。
こんなにすごいパフォーマンスができるのに今辞めてしまうの?とこっちが思っても、本人にとっては結婚し家庭に入ることが何より尊いことだったら、止めようもない。
限りある時間を命の限り踊り尽くして、みんな颯爽としてステージから去っていく。潔い。
残されるのはポールダンスが死ぬほど好きで、それ以外を考えなかった女たち。
それ以外を優先できなかったとも言える。
私の場合は事情がちょっと違うから、たとえ今後パートナーができてもポールは続けると思うけど、それ以外の事情で辞めてしまうことだって考えられる。
加齢だったり怪我、病気、いつまで踊り続けられるかなんて誰にもわからない。

 

だからいつも、自分が踊る時も、これが最後かもしれないと思って踊る。
ふざけたショーも、セクシーなショーも、二度とできなくなった時に後悔しないように。
やる気のないときもあるけど、自分を奮い立たせてステージに立つ。
そこに立ったら自分が全て。何かを作り出すのも、ぶち壊すのも自分次第。
目の前にいる人さえ満足させられないなら自分だって楽しくも気持ちよくもなれない。
自分と向き合うしかない時間を、毎日持つことができるのが何より幸福だと思う。
みんな、心の中で血反吐を吐きながら、自分を見つめて踊ってる。それが辛くても楽しくても気持ちよくても、もらえるギャラは変わらない。
肉体労働であると同時に精神修行みたいなシビアさを感じる。

 

今日も明日も、明後日も、たくさん踊ってたくさん寝よ。
おわり。