私がポールダンスを始めてもう15年の月日が経過した。
もちろん私よりも長く、まだまだ現役の先輩もいれば、私より遅く始め私より早くこの世界から去っていったダンサーもいる。
コロナ禍を経たこともあるが、この5年くらいでかなりいろんなことが変化した。
ポールダンスを習える場所がものすごく増えたこと。
大会にポールスポーツというより運動・体操寄りのポールダンス種目ができたこと。
自分よりもずっと若い子達が活躍し始めた一方で、「ポールダンスだけ」を食い扶持にできるダンサーは圧倒的に減ったこと。
それはコロナ禍で、ポールダンサーが踊って稼げるお店が減ったことと関係している。
私が勝手に「第一世代」と呼んでいる、日本でポールダンスを広めた世代の方々がそろそろ引退しはじめている。
おそらく第一世代からしたら私は第二〜第三世代というところだろうか。それにしても遠いところまで来てしまった。
ポールダンスがどのように生まれ、広がり、日の目を浴びるようになったかを知らないダンサーも増えてきた。
美しく、キラキラと輝き、ポールダンスを賞賛されることが当たり前になった。
そうではなかった時代のこと、先人が切り開いてきたストリップの場や、アングラのものとして扱われていた時代が消えていく。
もちろん私は今の状況に満足している。ダンスパフォーマンスが評価され、ポールダンスを見たいというお客さんがお店に来るようになった。
ポールでお金を正当に稼げる。素晴らしいことだ。
一方で、当の私たちは、「蔑まれ、日の目を浴びずとも踊り続けてきた」先人たちをずっと忘れてはいけないとも思っている。
その土台がなければ今の私たちのステージはないのだ。
あの頃はこうだったんだよ、なんて後輩に語るのはめちゃくちゃ老害ムーブだよなあとも思うけど、知っててほしいし、忘れたらいけないことが山ほどある。
生き字引として何を残せるのか。いつまでやるのか。毎年毎年、そんなことを考えるようになりました。
おわり。